「2011年 下半期の読書」
今年もあとわずかになりました。
下半期(7月〜12月)には54冊の本を読みました。印象に残った本は以下の通り。
◆「舟を編む」三浦しをん
この本には何とも言えぬ良さがあります。辞書編纂という超地味な作業に傾ける情熱!これ、仕事だから、とか、言葉が好きだから、という理由ではもはやないと思うんですね。
一人一人の内なる魂の希求というか、真実への探究心というか、立場や年齢を超えた人間の精神の有り様のようなものを感じました。
◆「心星ひとつ〜みをつくし料理帖」高田郁
ここのところ進展がないように思われたのに、突然の怒涛の展開に驚いています。
最近いろんなところでこのシリーズが紹介されています。時代物に馴染みのない人の間でも流行っているのでしょう。
何がこんなに読者を惹き付けるのか?万事ビジネスライクな現代にあって、澪や周りの人たちの互いを思いやる細やかな情が、とても大事なものに感じられるからかも知れません。
◆「モダンタイムス」伊坂幸太郎
実は伊坂作品では本書が一番好きかも知れません。読み応えがありました。
現代社会(近未来社会?)の漠然とした怖さのようなものを感じました。怖いといえば、妻・加代子。キャラがめちゃくちゃ立っていて、インパクトがありました。
今年出た文庫版では、途中書き直されている箇所がありました。
◆「オリガ・モリソヴナの反語法」米原万里
「嘘つきアーニャ」と対になっている作品です。形は小説ですが、米原さんの体験をもとにしているだけに、真実の重みが迫ってきます
登場人物たちが、国家や時代に翻弄されながらも、懸命に生きていく姿に感動しました。
◆「マスカレードホテル」東野圭吾
ホテルを舞台にした作品は面白いですね。仕事などでたまに行きますが、ホテルって一歩裏に入ると迷路のよう。そうでなくても人の通らない死角がたくさんあって迷子になりそうです。
現実離れした性格の加賀や湯川に較べ、新キャラクターの新田刑事には人間味があります。そこが本書の最大の魅力なのではないかと思います。
◆「平成猿蟹合戦図」吉田修一
あの「さるかに合戦」の現代版。といっても、この作者だけあって随所にスパイスが効いています。
「悪人」「パレード」「7月24日通り」「横道世之介」…何となく屈折した印象のある吉田修一作品の多くと違い、不思議な明るさや爽快感があるのが印象的でした。
写真は、夏の京都で撮影した雲。突然の雷雨がやんで、霞のように涌き出た雲が、東山を背景にたなびく様子です。まるで、二匹の竜のように見えませんか?このあと急に日が差して、直前までの雷雨が嘘のような青空になりました。
来年は辰年。2012年が良い年になりますようお祈り致します。


